ストーリーを持った様々な創作物に対しての感想、紹介等々。 思うところあればお気軽にコメ下さい。
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少しずつ読み進めていた、庄野潤三著の「せきれい」を遂に読み終えた。

四季を彩る庭の花、賑やかな鳥たちの訪れ、食卓を賑わす旬のもの、懐かしい歌とピアノの音色、善き人々との去来……。変わるものと変わらぬもの。静かだけれど、本当に豊かな暮らしがここにある。子供たちが独立し、山の上のわが家に残された老夫婦が送る、かけがえのない日々を透徹した視点で描く傑作長編。(本書カバーより)

 本書は小説でなく、「日記」という事で良いのかな?誰かに読まれることを前提としているため、やや備忘録のような印象も受ける。でも基本は日々の何気ない出来事をただ流々と記したものであるから、何度も同じことに触れることもあるし(それが自然なのだが)、不自然な説明口調が変に感じられることもある。まあそんなことは気にならない位魅力的な「日常」が描かれているわけです。

 「事件」らしいものは何も起きず、全体として起承転結は無いのだが、何気ない日々の出来事がかけがえのないものだと教えてくれる。些細なことでも幸せに感じ、些細なことでも「ありがとう」と言う。そうの繰り返しが、老夫婦を取り巻く自然や家族、友人たちとの生活を形成している。
 流石に主人公の視点で「この日々」を視ることは難しいが、傍でとてもうらやましげに見つめている自分に気付く。何を幸せと言うかは人それぞれだが、どんな人生を送っていくにしても、このような老後を過ごせれば、その人達は、やはり幸せな人生を送ったことになるのだろう。
 
 誰かに「読んでみて」と勧めたくなる。寝る前にでも、少しずつ、少しずつ彼らの「日常」を味わっていただきたい。「明日」は「今日」とほんの少し違う「今日」。

よく咲いてくれた。ありがとう。


ちなみにタイトルの「せきれい」とはブルグミュラーが作曲したピアノ曲で、ピアノを習っている主人公の妻がなかなか上手く弾けない練習曲。
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